畑先生質疑応答

質問者 他人の末梢血を移植する場合と他人の骨髄を移植する場合で、他人の抹消血を移植する場合は、白血球とかが1〜2週間で上がってくるので安心で、骨髄を移植した場合は、なかなか上がってこないので感染とかの危険があるという話だったのですが、データで先ほど末梢血の方がかなり良くて、骨髄の方がかなり悪いデータがあったと思いますが、その場合感染以外で、何かそういう要因になる事があるのでしょうか?
畑先生 感染以外だと、他人の骨髄を入れた場合になぜ悪いかですね? 感染以外にはGVHDが起きやすいのです。他人の末梢血の場合は起きないことが有っても、骨髄だとかなり確率があって、臓器障害がおきて肝臓が悪くなったり腎臓が悪くなったりすることがあると思います。だから、感染とあと、GVHD拒否反応ですね。しかし、午前中のご紹介で、だれかがおっしゃっていましたけどGVHDが幸いにもおきて、とおっしゃっていましたが、起きた方が骨髄腫細胞を殺してくれるという事がありますんですよね。だから、そこはなかなか良い事ばかりはおきない、ということになちゃいますよね。
質問者 骨髄腫ということで無症状で進行していない場合、この段階で何か治療の方法はないのでしょうか?
畑先生 無症状でステージが若い時に何かする事はないか、と言うことですね? 結局そこで、僕らは年齢を考えます。たとえばもう70歳を超えておられて無症状であれば、無理して抗がん剤をたくさん使わなくても良いんじゃないか、というふうに思ってしまう。ある程度若くてM蛋白がきっちりあって、でも無症状である。早めに何かした方が良いんじゃないか。まず出来るんであれば、たとえば兄弟がおられてHLAが合うんであれば、大量化学療法と移植という事になるんだと思いますけれども、全く進行しない場合もあるんです。なぜか全く解らないんですけれども、何年もずっとM蛋白はあるけれども、骨も痛くならないし、貧血もない、という方もいらっしゃいますから、ここのとこは非常に悩むところです。紋切り型で言えば40,50歳で骨髄腫になって症状がなくても、10年先の事を考えるなら兄弟のHLAを調べて移植ということになると思うんです。 ただ、その結果、治療がうまくいくかどうかっていうのは全くわからない。というのは何年もずっと動かないような患者さんの場合は、おそらく癌細胞が眠ったような状態でだと思うんです。眠っているような癌細胞は、抗がん剤があまり効かないんです。たとえ大量に抗がん剤を入れても殺し残しが出来てくる可能性がある、そしたら何のためにそういう危ない目をして、入院をして、仕事も休んでそういう治療をしたんだという事になってしまいますから、こればっかりはやってみないとわからない、としか言えません。ただ、サリドマイドみたいな薬が出てきていますから、じっと眠っているような細胞を殺してくれる、しかも飲み薬で割と効率よく減らしてくれるという事があるのであれば、それがひとつの手である、してはいけないと思うのは漫然とMP療法を何ともない人に、長い間やるのは良くないと思う。というのは、なんともない若い人で、将来、移植をするのであれば、幹細胞を取らないといけない。メルファランなんか飲んでいますと幹細胞は減ってきます。いざいると言う時に取れないという事があり得る。他人のものをもらうなら別ですけれども、だから、全く症状がなくて進まないような場合は、やっぱりMP療法を、やってみてもいいのですけれども、1,2回で効かなければ、一応私は止めてみますね、早いうちから出来る事というのはやっぱりこれですというものはない、やはり前後の経過をみないとですね、選択肢が多くてですね、一人、一人違う。


質問者 全く個人的なことで申し訳ないんですけど、当初MPの大量療法によりまして、現在私の場合、形質細胞が0.4、IgGが800台です。MP療法を今、月一回やっているんですけども、続けた方が良いか止めた方が良いんでしょうか?
畑先生 MP療法だけで、そうなられたのですか?
質問者 はい。
畑先生 そしたら...非常に得をしたのだと思いますよ。MP療法がそれ程効く方は少ないと思いますMP単剤でですね。事情が許せば、僕だったら止めて、しかし大量化学療法も、年齢とかいろいろな条件がありますけれども、出来るのであれば大量化学療法、つまりこのまま止めたら、また出てくると思うんですけれども、それがいつかわかりませんけど、出てきては飲み、出てきては飲みするのも、ひとつの手だとは思います。ただ、ある程度の年齢の方であればですね。
質問者 50歳です
畑先生 私は50歳だったら若いと思いますし、メルファランを飲むだけでそれだけ効くという事はメルファランの大量療法をしたら、ひょっとしたら治癒ということもあり得るかもしれません。そしたら僕はそちらの方をおすすめしますけれども。
質問者 当初メルファランが一日に朝2錠、昼2錠、夜2錠 プレドニゾロンが8錠、8錠、8錠を4日続けるのをこれだけ3回でですね、形質細胞が27%あったのが0.4%までおちてます。IgGが4200から今は800〜900です。
畑先生 私の患者さんにも似た方がいらっしゃいましたけれども、その方は70歳くらいで心臓が悪くてですね、しかしMP療法を3回位やっただけで非常に良くなって、その方はいっぺん治療をやめて、田舎の方だったので田舎の病院に行ってもらっていて、またM蛋白が上がると、また始めてもらう、ということを繰り返しながら、だいぶ高齢に差しかかってこられたのですけれども、その方若かったら、僕はやっぱりドンと大量に治療したと思う。再発せずに治癒という事もありえないかな、と思うのです。
質問者 今現在、メルファランを4週サイクルで一日1錠という治療を受けているのですが、ようはその現象がその薬をのんで地固めをしているから0になっているのでしょうか?
畑先生 多分そうだと思います。私の経験では、やめたらその方ずーっとよかったのですけれども、間は結構長かったけれども、1年以上でしたか、やっぱり出てきます。M蛋白ですね。ですから、根絶やしにはなっていないと思いますね。維持しているから抑えているわけです。
質問者 維持しているのをやめると、かえって悪くなって…、やめれば増えてくる?
畑先生 だらだら飲むかと言うと、50歳でいらっしゃるし、平均寿命まで20数年、飲みつづけるかということになりますと、メルファランはご存知のように二次発ガンということがありますですね。長い間、飲みつづけると白血病になったり、他の病気が出たりします。幹細胞を取ろうと思うんだったら、メルファランを飲んだら幹細胞が減ります。だからやっぱりせっかくそれだけ効いたんだったら、…と思いますね。
質問者 一度やめて、治癒なのかどうかを確認するのも一つの手ですね?
畑先生 ま、確認してもまた出てきたら結局、何のために待ったんだろうと思いますから、勿論、踏み切られるのは非常に勇気がいるし大変だと思うのですけれども、ま、治るという事を考えればですね、私は病気の種はなくなっているとは思いませんから、大量のメルファランを、それだけメルファランが効く細胞なのですから、その10倍、20倍の量をあげればもっと効くと思います。そういう治療をされてみてもいかがかな、と思います。


質問者 形質細胞白血病に関してですが、本などを見ると有効な治療法はないと書いてありますけれども、これについて新しい治療法はなにかありませんでしょうか?
畑先生 新しい治療法というのはないと思いますね。形質細胞性白血病というのは、二種類あって、病気が進んできてから末梢血に出てくる白血病になるものと、最初からあるかたちのものですね。非常に予後が悪いと言われていますけど、MP療法なんかでずっと効くというような方もいらっしゃいます。じゃ、新しい治療法はないか?特にそれをねらった治療法はないと思いますけど、むかしIL6レセプター抗体を、形質細胞性白血病に(?1)された報告は何年か前ありました。それをやっている間は癌細胞は減る、白血球が何万か増えても減る。しかし、中止するとまた上がるという事がありますね。あとはもう骨髄腫の治療に準じてやるしかないのじゃないかと思います。


質問者 午前中の自己紹介の時に、園田さんの方から畑先生の言葉を引用されたと思いますけども、薬を使わないのも治療の一つですよとということだったと思うんですけども。それについて、畑先生の説明をお聞きしたいのですが、それはどの患者についても言えることなのでしょうか?
畑先生 それはどの患者さんにも使える言葉じゃないと思います。治療が目的があって、しかもそれが効いてあるのであれば続けるべきだと思います。ただ、年齢が若くて、ま、年には関係無くて骨髄腫であるということがはっきりしていて、しかし何ともない、全く進みもしなし貧血もこない、骨も痛くない、で、MP療法を行っている、MP療法が効いたんだったら僕は続けるべきだと思います。しかし、効かないという場合に、一見ピンピンしていらっしゃるから、効かないMP療法を漫然と長期間やるのはよくない、という事です。そういう意味です。
質問者 園田さんの場合、聞き間違いでなければM蛋白が、薬をやめたあと上がりはしたが、また、一定期間下がりだした、という事で、薬を使わなくても上がったり下がったりするという事だったと思うんですけれども。
畑先生 そういう事があるんですね。薬を使わなくても上がる一方ではない、ということはあるのです。だから、患者さんが薬を飲む事で利益を受けるのだったら良いが、痛みが軽くなるとか、貧血が良くなるとか、しかし、何の利益もなくてただ白血球だけ減る、血小板だけ減る、という事だったら副作用しか出ていない事になりますよね。そしたら僕は治療法を変えるべきだと思います。ただ、ほっといていいか、というのは病気がどんどん進むんだったら効かない治療はやめて別の治療をやる。病気が横ばいだったら、いっぺん全てやめてみるのも一つの手だと思う。ただ原則はですね、若い方だったら、治癒という事を考えるなら骨髄、大量化学療法と移植、これはもう原則としては曲げられない。そこに踏み切れない場合がありますよね。何ともない、その場合は、選択肢として、効かない治療を漫然としなくて良いんじゃないか、と思うんです。


質問者 メルファランを長く使うと白血病になる可能性が出てくるとおっしゃってましたけども。長く、とはどれ位のことですか?
畑先生 相当容量ですね。500mgを超えると少し出てくる。1回のMP療法で1日10mgを4日で40mg、1年で500mg近くになりますね。
質問者 期間というよりも、使用する量ですね?
畑先生 ええ、量です。これは決まった線はないと思うんですけれども、500と言ってる人がいたり10000ぐらいと言ってる人がいたりですね、1000mg位でしょうか?
瀬崎先生 だいたい1000mgぐらいになると気を付けるというのが現状ですが、もっと早く起こる場合も有りますね。
司会者 今のお話は二次性発ガンの危険があるという時が、500〜1000という事で、500を超えると増えてきて、1000だと気を付けるという事ですか?
畑先生 もちろん個人差がありますから必要で使う、ということなら僕はかまわないと思いますけども、まったく効いているかどうかわからない時に、長く使うとそういうデメリットもあるということです。


質問者 先程、新しい薬剤で9つあげておられまして、堀之内さんもサリドマイドをお使いになっていらっしゃいます、ま、どこでも使える訳ではありませんけれども、その次にこの中で可能性の高い使えそうな、開発されつつあるのは...いかがなものでございましょうか?
畑先生 (注10を出す)1番は実際にもう使われています。1,2,3番は使われています。常にある薬は砒素なんかはありますし、レチノイン酸ちょっと駄目ですけども、結局そう考えると1,2,3、かなあ。あと、実際3番はインフォーマルに使っていますからですね。ただ、私の個人的な感想ですけれども、1や3は最初から使う薬でもないし、効かなくなった場合に考えるような位置付けだと思いますから、そんなに意義のある薬に成り得るかどうか疑問です。でも2番はですね、サリドマイドは、効かないような例にも効いてきているみたいですから、しかも飲み薬ですから、骨髄腫の治療が、案外こんなお薬で変わっていくのかもしれないとすら思います。MP療法みたいなものに加えるとかですね。このあとIL6レセプター抗体のお話もあります。そちらの方も参考にしてください。


質問者 私が使ってるのは、アルケランで、メルファランというお薬は使ってないんですけども?
畑先生 それがメルファランです。アルケランは商品名、売っている名前で、メルファランは一般名です。同じモノです。


[ 司会者 ]:最新のストックホルムの情報、お薬にまつわるいろいろのお話、耐性化のお話とか頂きました。新薬についてはこれといった決定打は、まだもちろん、ないかもしれませんが、こういう選択肢がいっぱいあるという事はわれわれ患者にとっても非常にありがたい事で、このたくさんの中から少しでも効くものが出てくれば、日本でも有効なもの、早く使える、といった事を先生方にもお願いしたいと思います。
ありがとうございました。

作成(広島、浮田、堀之内)



ページの先頭に戻る
畑先生の講演録に戻る
大阪セミナーの目次に戻る

(c)copyright 2003 IMF Japan all right reserved.