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2年に1回開かれる
国際骨髄腫ワークショップが、今年の6月25日からギリ
シャのコス島で開催されました。52カ国から約1000名の参加がありこの病気が
世界的に研究されていることがわかります。日本からは34名が参加しました。コス島
はギリシャの領土ですが、地理的にはトルコのすぐ近くで、高速船で30分でトルコに渡
れます。学会期間中はアテネの気温は47度、学会場も連日42度の猛暑でした。
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発表内容は骨髄腫
の癌化、治療、予後因子など多岐にわたりましたが、やはり
治療に関するものがもっとも多く見受けられました。以下に、主な内容を、初回治療、
再発時治療にわけて述べます。
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1:初回治療
ベルケイド、サリドマイドによる大量化学療法前の治療
日本では難治再発例にのみ保険適用となっています。サリドマイドは日本ではまだ保険
適応となっていません。今回は、これら薬剤を初回治療に使用する事例が多く発表され
ました。すなわち、65歳以下であればVAD療法を行い、その後に幹細胞採取をする
ことが一般的ですが、VAD療法は副作用が多い割には効果が薄いため、VADのかわ
りにベルケイドやサリドマイドを用いて治療しようというわけです。ベルケイド+デカ
ドロンとVAD療法を比較するフランスの試験では、ベルケイドを用いるほうが奏功率
が高いことが証明されつつあります。VAD療法の代わりにサリドマイド+デカドロン
を用いるイタリアの試験では、やはりサリドマイドを用いるほうが奏功率が上がること
が示されました。しかし、サリドマイドによる深部静脈血栓症の危険があること、奏功
率の増加が生存期間の延長には結びつかないことも報告されており、初回治療をどの程
度効果的にかつ副作用を少なく施行するかが重要です。
大量化学療法が不可能な場合のレブリミド、ベルケイドによる治療
幹細胞移植併用メルファラン大量療法が行えない症例を対象にした、レブリミド+MP
療法(MPR)、ベルケイド+MP療法(MPV)の報告があり、MP療法よりも予後
が良いことが報告されましたが、まだ観察期間が短いため、結論はもう少し待たねばな
りません。副作用としては、レブリミドとMPを併用すると好中球減少、血小板減少が
問題となりそうです。
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2:再発時の治療
ベルケイド
ベルケイドを中心として、様々な薬剤との併用が試みられています。
ベルケイド+MP+サリドマイド
ベルケイド+エンドキサン+デカドロン
ベルケイド+ドキシル
などで、どれも再発例の6割から8割に効果があるようです。
レブリミド
レブリミド単独では効果は3割ですが、レブリミド+デカドロンでは6割に
効果があり、また前治療数が多いとレブリミドの効果は薄れること、腎障害、
血小板減少がある際には減量が必要であることが強調されました。
レブリミドもサリドマイドと同様、欧米では血栓症を起こすことが知
られています。この危険性は55歳以上の症例に多く、危険度に応じてアスピ
リンや低分子ヘパリンによる血栓予防措置が必要です。ただし、サリドマイド
使用時の日本人の調査では血栓症がおきにくいとの報告もありますので、この
点はレブリミドの治験の際に明らかにされるべきでしょう。
レブリミド+ドキシル+デカドロン(RAD)療法も約8割の再発例
に効果があるとされていますが、やはり好中球減少が問題です。
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3:まとめ
今後、ベルケイド、レブリミド、ドキシルの3剤が治療の様々な時期
に使用されてくると考えられます。これらとメルファラン、デキサメサゾンを
組み合わせると、まことに種々の治療法が考案されうるわけです。問題は、ど
の組み合わせがどの患者さんに最適かがわからないことです。現実的には、副
作用から考えて、どの組み合わせが「使えない」かを考慮し、消去法で使用す
る組み合わせを選ぶことになると思います。当然これら薬剤以外にも新規薬剤
が考案されていますので、骨髄腫の治療の選択肢は広がるばかりです。
これらは良い情報ですが、新しい治療法の本当の有効性は何年間か待
たねばなりません。今は、短期的な結果しか出ておらず、生存期間の延長をも
たらすかどうかは、10年待たねばわかりません。
これら薬剤のうち現在の日本では、ベルケイドのみが再発例に使用可
能で、レブリミド、ドキシルは使用できませんが、今後欧米並みに使用できる
ことが期待されます。
この15年、骨髄腫の治療は変化してきました。世界中でMP療法しか
存在しなかった時代から、メルファラン大量療法と幹細胞移植、サリドマイド、
そしてベルケイド、レブリミドの登場です。新しい薬剤の登場で、今では、メル
ファラン大量療法の意義も問われています。
このように骨髄腫という病気は変わらないのに、治療法はめまぐるしく
変わっていきます。しかし、残念ながら、どの治療法も病気を根絶させて治して
しまう力をまだ持っていませんし、新しい治療にはまだ良くわからない副作用が
隠れている可能性もあります。新しい治療法が万人にとって最良の治療であると
は限らないこと、病気と壮絶に闘うことが万人にとって最良とは限らないことを
患者、医師共に十分に理解し、豊富な選択しを用いて、どのように治療すべきか、
どのように日常生活を送るべきかを熟慮することが重要だと考えます。
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