2007年 1月24日
厚生労働大臣柳澤 伯夫 殿
厚生労働省医政局長松谷有希雄 殿
  〃  医薬食品局長高橋 直人 殿
  〃  医薬食品局審査管理課長  中垣 俊郎 殿
  〃  医薬食品局安全対策課長 伏見 環  殿
  〃  保険局長水田 邦雄 殿
  〃  保険局医療課長原  徳壽 殿
要望者
日本骨髄腫患者の会
代表 堀之内みどり

要望書


以下2点につき要望いたします。
1. 多発性骨髄腫治療薬サリドマイドの『早期承認』およびサリドマイドの『教育と安全使用に関する管理システム早期完成』に関する要望
2. 多発性骨髄腫治療薬ボルテゾミブ(ベルケイド)のDPCに関わる使用環境整備に関する要望



日本骨髄腫患者の会
代表 堀之内みどり
〒184-0011 東京都小金井市東町 4-37-11
e-mail Address:owner-imfjapan@myeloma.gr.jp
ホームページ Address:http://www.myeloma.gr.jp/

本件連絡先
副代表(陳情担当)上甲恭子
e-mail Address:owner-imfjapan@myeloma.gr.jp

以上

添付@:プロトコール別 コスト比較表(PDF形式)
 

要望1

多発性骨髄腫治療薬サリドマイドの『早期承認』およびサリドマイドの『教育と安全使用に関する管理システム早期完成』に関する要望

1. サリドマイドの早期承認

 当会は、1999年5月から6回にわたり多発性骨髄腫におけるサリドマイドの承認と安全管理システムの確立を要望してきましたが、現在においても未承認のままです。
 この間サリドマイドは、アメリカをはじめ世界数カ国で多発性骨髄腫の治療薬として承認され、延命効果を得ています。
 また、昨12月に行なわれた全米血液学会においては、実に33件の多発性骨髄腫に関するサリドマイド治療の臨床研究発表が行われ、治療抵抗性・難治性骨髄腫の治療のみならず、初回治療あるいは維持療法への応用、他剤との併用など、さまざまな試みが実施され、確かな期待がもたれています。此処においては、既に本邦は周回遅れの様相を呈しています。
 現在、本邦においては医師による個人輸入がサリドマイド入手における唯一の合法的手段で、薬を必要としている全ての患者が平等に治療の機会を得ることはできません。サリドマイド治療実施施設を捜し求める患者は後を絶たず、また、経済的理由から治療を断念する患者も少なくありません。このため、延命の可能性のある患者が命を失っています。
 欧米で標準的な治療となりつつあるサリドマイドを含む諸治療を受けることができるよう、また、今現在サリドマイドを含む治療を受けている患者に不利益が生じないようにもご配慮の上、現在審査中のサリドマイドの速やかなる承認を要望いたします

2. サリドマイドの『教育と安全使用に関する管理システム』の早期完成

 2006年8月8日、藤本製薬株式会社(以下製薬会社)がサリドマイドの製造・販売における承認申請を提出し、同時に、同剤に携わる全ての関係者(患者・配偶者・パートナー・家族・介護者・薬剤管理者・医師、薬剤師など医療従事者)がその危険性を正しく理解し、互いに約束事を守り協力しあい、安全に使用しかつ厳重に管理するためのシステム構築(Thalidomide Education and Risk Management System 略称T.E.R.M.S.)を進めています。
 T.E.R.M.S.に関しては、昨年9月厚生労働省安全対策課の主催により、製薬会社、臨床血液学会医師、サリドマイド被害者団体、当会など関係者(以下関連機関)が集い、システム構築のための意見交換会が1度開かれましたが、その後、完成の声は聞いておりません。
 また現在、安全管理システムについては、関連諸機関から様々な提言がだされていますが、必要以上にシステム構築に時間をかけることは、サリドマイド治療の機会を失う多発性骨髄腫患者の生命予後に重大な影響を与える結果になり、安全管理も充分でないこともあって、社会的にも容認できるものでないことは言うまでもありません。
 つきましては、T.E.R.M.S.早期完成のための具体的方策を講じていただきたく、次のとおり要望いたします。

2-1.
T.E.R.M.S.の早期完成について

 製薬会社は、Thalidomide Education and Risk Management System 略称T.E.R.M.S. を構築中であります。前述の検討会など、私どももその概要の説明を受ける機会を得ていますが、以下に代表されるサリドマイド安全管理システムに求められる諸要件を満たすために関係機関との協議を重ねつつ構築を進めていることに間違いはありません。
 1)薬害発生を効果的に抑止するに必要十分な機能を有すること
 2)医療現場で支障なく受入れ可能であること
 3)患者のプライバシーを保護し、過度のストレスを与えることなく運用できること
 また、常に対照とされる米国Celgene社が開発したサリドマイド管理システムS.T.E.P.S.との細部に亘る比較検討を行い、決してそれに劣後することない機能をもつことを目指していると見受けられます。
 わが国で唯一承認申請を行なった製薬会社があらゆるリスクを勘案の上構築したT.E.R.M.S.を詳細に亘り閲することが、最も合理的なプロセスであるはずが、それが充分行なわれず、内容の吟味・検討が中断しています。

 早急にT.E.R.M.S.を公平に評価しその詳細の検討を開始すること、その上不備な点を改善し、完成に導くよう努めることを要望します。また、関連機関が一丸となってT.E.R.M.S.の早期完成に協力するよう調整を求めます。

2-2.
米国Celgene社が特許権をもつサリドマイド安全管理システムS.T.E.P.S.および、サリドマイド誘導体レナリドミド安全管理システムRev Assistについて

 S.T.E.P.S.は、世界で最初に作られたサリドマイド安全管理システムであり、それを参酌することに異論はありません。
 しかしながらS.T.E.P.S.とて完璧にあらず数回のバージョンアップを経ており、また、後発であるRev Assistは更に改良されています。ただ厳格であっただけの当初のものからあらゆる面において実効性の高いものとなっていると考えられます。
 この上は、無批判にS.T.E.P.S.に追従するのではなく、Rev Assistを含め最新バージョンのものを正しく評価した上、T.E.R.M.S.の参考とすることを求めます。

 また、現在、世界各国で多発性骨髄腫の治療薬として承認されているサリドマイドおよびS.T.E.P.S.は、Celgene社およびCelgene社とライセンス契約を交わしたPharmion社にほぼ独占されており、その結果、安全管理システムとしてはS.T.E.P.S.が普及しています。
 S.T.E.P.S.、Rev Assistとも、Celgene社が特許権を有することから、何らの提携関係にない日本の製薬会社に導入を求めることは極めて困難であり、それを求めることは、すなわち現在審査中のサリドマイドを排除し、承認審査のプロセスを停止することに他ならず、個人輸入という緊急避難的方法に頼ることなく、早期承認を待ちわびる骨髄腫患者にとって、到底許容できるものではありません。

2-3.
T.E.R.M.S.検討および構築の期限について

 『2度と薬害を起こすまい』と最も強く念じているのは、他でもない骨髄腫患者であることを忘れないでいただきたいと思います。
 なぜならば、あってはならないことですが、今度不幸にして事故が起きるとすれば、被害者となるのは多発性骨髄腫の患者やその家族であることは誰の目にも明らかだからです。ですから、当事者である私たち自身が最もよくそのことを承知し、それゆえまた必要な安全管理の方法も確保しなければならないとの認識を一層強くもしています。
 教育と安全使用に関する管理システムが必要でないと考えたことは一度もありません。既存の安全システムであるS.T.E.P.S.やRev Assistを無視しろとも思っていません。モデルとなるものがあるだけに、アメリカで数年かかったといわれるシステム構築がそれらを参照することで容易となり、完成までの時間やプロセスを短縮できることと期待しています。
 そうでありながら、これらを吟味するに時間がかかり過ぎたり、T.E.R.M.S.構築の作業が滞ったりすることには、何ら妥当性はなく、誰もが望んでいない状況(薬害発生の懸念と治療機会の喪失により命を失う不条理)を徒に長期化させるに等しい行為です。

 当局及び関係機関が一丸となってT.E.R.M.S.完成を目指したなら、必ずや早期に完遂するはずです。ついては、上記2-1、2-2に期限を設けることを要望します。

 T.E.R.M.S.構築のために当会はあらゆる努力を惜しみません。関係各位の格別なご協力を切にお願い申し上げます。

以上

要望2

多発性骨髄腫治療薬ボルテゾミブ(ベルケイド)のDPCに関わる使用環境整備のお願い

 ベルケイドの多発性骨髄腫での使用をご承認頂き、厚く御礼申し上げます。

 ベルケイドは初回治療で効果がなくなった患者にとって命を繋ぐために欠かせない画期的な治療薬ですが、薬価が非常に高額です。試算しますと治療1サイクルの費用は薬代だけで70万円弱と従来の治療の15倍以上になります(添付@ご参照)。

 患者の個人負担も軽くはありません。しかしそれ以上に、一部例外を除く入院患者には貴省が定める疾病別の一日当りの保険点数を適用する必要がある診断群分類包括評価(DPC)対象病院にとって、この高コストが本剤使用の障壁となり、必要なときにベルケイド治療を受けられない患者が生じるおそれがあると懸念しております。

 安全性確保を最優先させたことからベルケイドは、血液学会認定専門医が常勤し、緊急時に十分な措置を行うことが可能な医療機関等、一定の条件に合致した施設において、事前登録した症例のみに投与できるようです。製薬会社からは、上記のような条件に合致した施設の多くは、診断群分類包括評価(DPC)対象病院であると聞いております。

 ベルケイド発売からおよそ1ヶ月ですが、病院の経済的事情を治療の必要性に優先させ、ベルケイドの使用が回避される懸念が顕在化することがないように予防的処置を講じる必要性を感じ、本要望書を提出させていただきます。

 せっかくご承認頂いた治療薬が必要なときに必ず使用できるように、医療機関に対する指導や、DPCの運用における特別措置など、適切な対策を講じて頂きますよう、お願い申し上げる次第です。

以上


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